Barnum effect (バーナム効果)
Forer effect (フォア効果)

誰にでも当てはまるような曖昧な記述を、自分だけに当てはまるものと信じてしまう心理。

名前の由来

●『The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility』(1949)
  (個人的承認の誤謬:騙されやすさを教室で実証する)
  Bertram R. Forer(バートラム・フォア)

 学生たちに性格診断テストを受けさせ、実際には全員に「全く同じ診断結果(星座占いの文章を切り貼りしたもの)」を渡した。その結果、ほとんどの学生が「自分に非常に当てはまっている」と高く評価したことから、「誰にでも当てはまるような曖昧な記述を、自分だけに向けられたものだと信じてしまう現象」が明らかになった

 心理学の学術的な文脈では、発見者の名前をとって「Forer effect (フォア効果)」と呼ばれることも多い。

●『Wanted—a good cook-book』(1956)
  (求む、優れた料理本)
  Paul Meehl (ポール・ミール)

 心理検査の結果を解釈する際、臨床家が個人の経験や直感に頼る「熟練の手法(rule-of-thumb method)」よりも、統計的・機械的に判断する「料理本的手法(cookbook method)」の方が妥当性が高いと主張した。

当時、心理学の世界で「料理本(クックブック)的」という言葉は、「マニュアル通りに機械的に処理するだけで、専門家の直感や洞察を欠いた低レベルな手法」という、ネガティブな意味で使われていた。

しかしミールはこの皮肉を逆手に取り、「下手な直感に頼るくらいなら、優れたレシピ(統計的なルール)に従う料理本の方がよっぽどマシだ」と主張した。

ミールがこの論文で厳しく批判したのは、臨床家が書く「中身のない診断報告書」である。 彼は、多くの心理学者が書く診断結果が、一見すると深い洞察があるように見えて、実は「誰にでも当てはまるような曖昧な記述」ばかりであることを見抜いた。

これを彼は、「We have something for everyone (どんな客にも自分にぴったりの出し物がある)」と思わせるサーカス興行師(T.Barnum)の名をとって、「バーナム的記述(Barnum description)」と呼んだ

ミールが挙げた問題点:

 「彼は心の奥底に不安を抱えている」といった記述は、当たっているように聞こえるが、人間なら誰しも不安はあるため、診断としての価値がない。

 高価な心理テストを行い、専門家が時間をかけて分析した結果が、結局「誰にでも言えること」であれば、そのプロセスに意味はないと断じた。

この論文は、後にダニエル・カーネマン(『ファスト&スロー』著者)などの行動経済学者にも多大な影響を与えた。

「人間の直感がいかにバイアスに弱く、統計的なルールの方が正確であるか」という議論の先駆けとなった。

ミールは、単に「占いに騙されるな」と言いたかったのではなく、「科学者であるはずの心理学者が、占い師と同じような曖昧な言葉(バーナム的記述)を使って仕事をしてはいけない」とプロの姿勢を正そうとした。

なぜ起こるのか?

バーナム効果(フォアラー効果)そのものを直接の主題とした脳科学的研究はあまり見当たらない。
この現象に関わる「自己関連付け」や「情報のポジティブな偏り」という側面から、いくつかの脳科学的な説明がなされている。