やる気が出なかったのに、やり始めたら止まらなくなる。
Arbeitsanregung(アルバイツ・アンレーグング:作業興奮)。
ドイツの精神科医エミール・クレペリン(Emil Kraepelin)によって提唱された。
現代の脳科学では、作業興奮は脳の側坐核(そくざかく)の活動と関連付けられている。
特定の作業を5〜15分ほど続けると、側坐核が刺激され、意欲を司る神経伝達物質ドーパミンが分泌される。
「やる気があるから動く」のではなく「動くからやる気が出る」
●『Nucleus accumbens dopamine release increases during instrumental lever pressing for food but not free food consumption』(1994)
(側坐核ドーパミン放出は、食物を得るためにレバーを押す際に増加するが、自由食物摂取時には増加しない。)
レバー押しなどの「能動的な作業」を行っている最中に、側坐核でドーパミン放出が増加することを実証した古典的な研究。単に餌を食べている時よりも、作業(努力)をしている時の方が放出が顕著であると報告されている。
●『Dissociable dopamine dynamics for learning and motivation』(2019)
(学習と動機づけのための解離可能なドーパミンダイナミクス)
側坐核のドーパミンが、報酬そのものよりも「目標に向かって接近する行動」の最中に上昇し、モチベーションを維持する役割を果たしていることを最新の計測技術で示している。
●『Dopamine firing plays a dual role in coding reward prediction errors and signaling motivation in a working memory task』(2022)
(ドーパミンの放出は、報酬予測エラーのコーディングとワーキングメモリタスクにおけるモチベーションのシグナル伝達という二重の役割を果たしている。)
Mihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)が提唱したフローの状態も研究されている。
自分のスキルと課題の難易度が適切にバランスした際、深い没入感(フロー状態)が得られるという理論。
●『Play and intrinsic rewards』(1975)
報酬(金銭や名声)のためではなく、「その活動自体が楽しいから行う(自己目的的活動)」という現象に注目しました。チェスプレーヤーや登山家、外科医、ダンサーなど、高度な集中力を必要とする人々へのインタビューを通じて、「フロー」という概念を提唱した。