印刷機

~『機械の中の幽霊』(アーサー・ケストラー)~

印刷機を発明(あるいは、少なくとも他の人たちとは独立に発明)したグーテンベルクの例をとってみよう。

 彼の最初の着想は、印章つきの指輪あるいは印章のように、文字の型を鋳込むことであった。しかし、数千個の小さな印章をよせ集めて紙の上に均等に印刷できるようにするには、どうすればよいか。彼はこの問題でいく年間も苦闘した。そうしてついにある日、故郷のラインラントにブドウつみに行き、たぶんブドウ酒もだいぶ飲んだのであろう、彼はある手紙の中で書いている。「私はブドウ汁が流れでるのを見つめていました。そうしてこの結果を原因へとさかのぼり、何物も抵抗のできないブドウ搾り機の力を学びました…。」このときに、はっと眼が開いたのだ。印章とブドウ搾り機が結合して印刷機が得られた。