ブール代数

~『思考のための道具』(ハワード・ラインゴールド)~

ジョージ・ブールという17歳の英国人が驚くべき天啓に撃たれたのは、1832年のある日に草地を歩いている時であった。あまりに突然であり、その後の彼の人生に深い影響を与えたので、それまでは思いがけない人間の能力としてあいまいに推論されていたものを、ブールは「無意識」と呼ぶべきであると提唱している。しかしブールの人類に対する貢献は心理学ではなく、バートランド・ラッセルが70年後に述べたような、独自の純粋数学におけるものである。

 ブールは10代になってから数学を学び始めたばかりであったが、代数の形をとって人間の推論の能力のあるものを把捉し表現する方法をひらめいたのである。実際にブールの式は論理的問題によくあてはめることができたが、その当時は世間的に注目されなかった。ブールが上流階級の出身でなかったということもあるが、その当時の数学者に論理学の素養がなかったことが原因で、出版当時はブールによるこの洞察の過程の明確化は話題にのぼらなかった。彼の受けた啓示は彼の死後何十年も黙殺されていたのである。