~『パソコン創世記』(富田倫生)~
ドンピアは4月に入って間もなく、郵送されてきたアルテアのキットをようやく受け取った。
興奮がしなやかさを奪った指でかさばる箱を開け、部品を引っ張り出したドンピアは、ただちに組み立てにかかって、30時間後には電源を入れる段階にまでこぎ着けた。だがランプは点灯したものの、スイッチを上下させてプログラムを送り込もうとすると、アルテアの動作がおかしくなった。そこからさらに6時間を費やして、ドンピアはプリント基板の引っかき傷が原因となってメモリーがうまく機能していないことを発見し、修理ののち、ついに自分のコンピュータを完成させた。
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アマチュアのパイロットの資格を持っていたドンピアは、低い周波数の電波を受信できる小さなトランジスターラジオで天気情報を聞きながら、入力した数値を大小の順に従って並べ替える、ソートと呼ばれる作業のためのプログラムをスイッチから入れていった。最後の入力をスイッチから送り込んでプログラムを走らせた瞬間、アルテアの横に置いていたラジオが奇妙な音を立てはじめた。
マシンが数値をソートするたびに、ラジオはジーッ、ジーッと鳴った。
ソートプログラムを何度か走らせて、間違いなくアルテアがラジオを鳴らしていることを確認している最中、ドンピアの脳裏に稲妻のようにアイディアが走った。
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インターフェイス回路をまったく持っていない現状では、アルテアにはどんな周辺機器もつなげない。だがこのラジオは、もしかするとアルテアから情報を引き出す道具として使えるのではないか。このラジオは、アルテアのスイッチングノイズを拾っているのだ。
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8時間の奮闘ののちにどの数値が音階上のどの音に対応したノイズを生じさせるかを対照表にまとめ、かろうじて音楽の範疇に収まる音の連なりを再現するソフトウエア技術を確立した。
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ホームブルー・コンピュータ・クラブという正式な名前が付いてから3度目のミーティングは、4月16日にメンローパークのペニンスラスクールで開かれた。
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上下する音を耳で追っていた聴衆は、やがてアルテアがビートルズのナンバーを演奏していることに気づいた。